インバウンドガイド日記 vol.27「BENTO~世界がハマる次の日本文化?~」

インバウンドガイド日記 vol.27「BENTO~世界がハマる次の日本文化?~」

2025年08月20日 10時00分

年々増加傾向にあるインバウンド観光客。
皆さんも街中で訪日外国人を見かける機会はありませんか?

日本人同士の気持ちはわかるけれど、世界各国の人の常識や思いを理解することはなかなか難しいですよね。
そこで、日々インバウンドとともに日本を旅する’全国通訳案内士’が実際にあった体験をもとにお話しします。

皆様、「お弁当」は好きですか?

実はこの「お弁当」、いまや海外でも “BENTO” という日本語そのままで通じるほど人気が高まっています。

SNSでも注目され、私たち日本人が日常で楽しんでいるこの文化に、海外の方々も興味津々なんです。

コンビニの「卵サンド」や「おにぎり」はすでに有名で、日本に到着したらまず試す!という外国人旅行者も少なくありません。

でも私は、これからもっと広まるのは「駅弁」だと思っています。

近い将来、新幹線や特急列車で「駅弁」&ビールを楽しむ外国人観光客が、今よりずっと増えるはずです。

だからこそ、新幹線に乗られるお客様には、私は “BENTOアンバサダー” になったつもりでいつも熱くおすすめしています。笑

たとえば、こんなふうにお声がけしています。

Since you’ll be taking the Shinkansen, I’d definitely recommend getting a bento at the station!
せっかく新幹線に乗るなら、ぜひ駅でお弁当を買ってみてください!
※ “I’d / I would” は「私ならこうするかな」というやわらかい枕詞。
※ “definitely” は「自分の中では確信がある」という強調語。
→ 「私だったら絶対にそうしますよ(でも最終的にはあなたの自由です)」というニュアンスになります。


Some big stations even have shops that specialize in bento.
大きな駅には、お弁当専門のお店まであるんですよ。
※ “specialize in ~” は「〜に特化した」。接客現場でも役立つ便利なフレーズです。

There are so many kinds of bento. They’re all delicious and fun to choose from.
お弁当にはいろいろな種類があります。どれも美味しくて、選ぶのも楽しいですよ。

Enjoy your bento on the train — just like the locals do!
私たち日本人のように、電車の中でお弁当を楽しんでみてくださいね!


今日のひとこと

面白いのは、日本では「街中での食べ歩きはマナー違反」とされ、日常の電車内でも飲食や大声の会話は控えるのが普通なのに、長距離列車では堂々と駅弁を食べられることです。
しかも昼夜を問わず、ビールなどのアルコールもOKというのは、海外の方にはちょっと驚きかもしれません。

説明を加えるときは、こんなふうに言えるでしょう。

In Japan, bringing your own bento and eating it on long-distance trains is totally normal — and even fun!
日本では、長距離列車の中に自分のお弁当を持ち込んで食べるのはごく普通のことで、むしろ旅の楽しみの一つなんです。
※市販・手作りどちらのお弁当も含む表現です。

You can even drink alcohol on the train — like a beer with your bento.
お弁当と一緒にビールなどのお酒類を飲むこともできますよ。

It’s one of the little pleasures we enjoy when traveling by train.
電車での旅行のささやかな楽しみなんです。

海外から訪れる方にとっては、日本は一見ルールが多く、窮屈に感じることがあるかもしれません。

それでも、私たち日本人が親しんでいる、こうした “ちょっとした自由” や“旅の楽しみ” には、きっと共感していただけるはずです。

新幹線&キャラクター弁当(左)、加熱式弁当(中央)、鯛めし(右)

ひつまぶし弁当(左)、押し寿司(中央・右)

写真を見返してみたら、この1か月で4回も駅弁を食べていました…!押し寿司率高め。

さすが自称アンバサダー笑

お仕事後のご褒美に、ちょっと贅沢なビールは欠かせません。

昨冬よりお届けしてきた「インバウンドガイド日記」、お楽しみいただけましたでしょうか。

今後は「産経オンライン英会話Plus」のコラムにて、引き続き日本についてのあれこれを不定期に綴っていきます。

これまでお読みくださった皆さま、本当にありがとうございました。 またお会いしましょう!

記事執筆者
田口 倫子(たぐち のりこ)

全国通訳案内士(英語)
観光庁「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化研修」1級講師
観光庁「世界水準のDMO形成促進事業」外部専門人材
元JAL国際線キャビンアテンダント

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