【侍イングリッシュ】ご容赦ください Forgive me

【侍イングリッシュ】ご容赦ください Forgive me

2018年09月26日 00時53分

もうすぐノーベル賞発表。物理学賞を受賞した益川敏英・京大名誉教授は、2008年にストックホルムで行われた授賞式の講演で冒頭にこう言いました。

I am sorry. I can not speak English.(申し訳ありません、私は英語が話せません)

この後の講演は全て異例の日本語。益川先生が英語を話さないことは有名で、この授賞式も初の海外渡航でした。

それでも益川先生は英語の論文を読みこなし、会食時は誰かに通訳してもらい、専門分野の肝心なところは数式を書く。つまり、内容で勝負してこられたのです。ならば、「英語ではお伝えできませんので、日本語で失礼します」でよかったのではないでしょうか。英語ではForgive me for addressing you in Japanese.「ご容赦ください」といった雰囲気で、「話せなくてすみません」と印象が大きく異なります。

「許す」(forgive)の後に「忘れる」(forget)を続けると「水に流す」の意味になります。Let’s forgive and forget.(終わったことは水に流そう)といった使い方です。

忘れな草は、forget-me-not(私を忘れないで)。花言葉は「真実の友情」。真の友情を築くにあたって、益川先生が後に文芸春秋公式サイトで答えたインタビュー(平成28年7
月25日)は非常に示唆に富んでいます。「今では国際学会に行ってもインドなまりでもブラジルなまりでも、みんな平気で英語をしゃべってるから、日本人も下手でも気にしないでしゃべればいいんですよ」