シャドーイングとは?4つの効果とやり方を初心者向けに解説

シャドーイングとは?4つの効果とやり方を初心者向けに解説

2024年10月16日 6時21分

英語の学習方法の一つに、シャドーイングと呼ばれる手法があります。有名な学習方法であるため、聞いたことがある人も多いでしょう。

しかし、具体的にどのような練習なのか、どういった効果を期待できるのかなどを詳しく知っている人はあまり多くはありません。

この記事では、シャドーイングの概要に加えて、シャドーイングの効果ややり方を解説します。さらに、実施する際のコツも紹介しますので、シャドーイングを英語学習に取り入れようと考えている人は参考にしてください。

シャドーイングとは

シャドーイングは、英語音声を聴きながら、その直後に続けて発音する学習方法です。音声をただ聞くのではなく、聞いた瞬間にそのまま真似をして発音します。

シャドーイングは、英語の音やリズムを自然に体得できるため、リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられる点が特徴です。また、音の細かなニュアンスや発音のアクセントも効果的に身につくため、英語を使う力が総合的に向上します。

このような特徴から、シャドーイングは効率的に学習したい人に特に適した学習方法といえます。

シャドーイングの効果

シャドーイングによって得られる主な効果は、4つあります。それぞれの効果について解説します。

リスニング力が向上する

シャドーイングは、英語の音声を注意深く聞き取り、そのままの形で発音を模倣しなければならないため、リスニング力アップに有効です。耳に意識を傾けることで、日本語にはない音の変化や抑揚、リズムに慣れる効果を期待できます。

英語を聞きなれていないうちは、聞き取りが難しいと感じるかもしれません。しかし、繰り返し練習することで、次第に音の変化や言葉の繋がりがわかるようになります。

シャドーイングを継続すると、英語の発音と音声の特徴を正確に捉えられるようになり、リスニング能力が全体的に向上します。いずれは音声変化が多い部分や聞き取りにくい部分も、聞き取れるようになります。

スピーキング力が向上する

シャドーイングは、スピーキング力を鍛える効果的な練習法でもあります。音声を聞いたうえで発音することで、英語特有の発音やイントネーションを自然に習得できます。

繰り返し実施することで、英語の発音に欠かせない舌や喉の使い方がわかり、発音の精度が次第に高まります。

日本語は多くの音に母音が含まれていますが、英語では子音が単独で使われることが多く、発音が難しく感じられることがあります。しかし、シャドーイングを通じて、子音のみの発音を繰り返し練習することで、英語らしい発音に近づけることが可能です。

さらに、英語のリズムや強勢も、シャドーイングによって効果的に身につきます。英語を自然に話すためには、平坦な話し方を避け、リズムと強調を正確に表現することが重要です。

シャドーイングでは、音源に合わせて話すことで上記の要素を無意識に習得できるため、発音だけでなく英語を話す際の表現力も向上します。

語彙力や文法力が向上する

シャドーイングは、語彙力や文法力を伸ばす効果を期待できます。音声を聞きながら実際に単語やフレーズを発音することで、言葉が記憶に強く刻まれやすくなるためです。

また、スクリプトを見ながら取り組むと正確な語彙や文法を確認しつつ、間違った発音や理解を防ぐことが可能です。次第に英文のどこを理解できているのか、できていないのかを見極められるようになり、文法的な理解を深めるきっかけになります。

さらに、シャドーイングを繰り返すことで英文が自然に記憶に残り、感覚的に文法を理解する力も養われます。単なる暗記ではなく、実際の使用を通じて言語のルールが身についていくため、より実践的な英語力を育てることが可能です。

リーディング力が向上する

シャドーイングは、リーディング力を高めるうえでも効果的です。読まれる英文が記載されたスクリプトを使用しながら取り組むと、英語の文章を読むことが日常的な習慣となり、視覚的な理解力が高まるためです。

初めての文章では、音や文字を拾うだけかもしれません。しかし、同じ音源を何度も使い、繰り返し練習することで、読む速度や理解度が向上していくでしょう。

また、シャドーイングを続けることで、英文を読む際の余裕が生まれ、自然に発音しながら内容を理解できるようになります。音声と文字を結び付ける力が強化されるため、総合的な英語の読解力がアップします。

シャドーイングのやり方

シャドーイングは、以下の6ステップで行うとより高い効果を期待できます。

  1. スクリプトを見ずに音声を聴く
  2. スクリプトを見ながら音声を聴く
  3. 少しずつ区切って繰り返し聴く
  4. 音声を聴きながら同時に読む
  5. スクリプトを見ながら音声に遅れて読む
  6. なにも見ずに音声に遅れて発声する

それぞれのやり方について解説します。

手順1:スクリプトを見ずに音声を聴く

シャドーイングの最初のステップは、スクリプトを見ずに音声を聴くことです。ここで重要なのは、自分なりの発音やリズムで音読するのではなく、流れてくる音声をそのまま模倣するために正確に聞き取ることです。

最初に音声をしっかりとインプットすることで、後の発音練習がスムーズに進みます。音の細部に注意を払い、音声全体を頭の中に取り込むことが、シャドーイングの効果を高めるためには欠かせません。以降の学習成果を左右するため、集中して音を聴きましょう。

手順2:スクリプトを見ながら音声を聴く

次のステップは、スクリプトを見ながら音声を聴くことです。ただ音声を聴くのではなく、前の段階で聞き取れなかった部分に注意を向けることが重要です。

聞き取れなかった部分は、スクリプトを確認することで特定できます。リエゾンや音のつながりに気づくきっかけにもなるため、英語の音声に対する理解も深まるでしょう。さらに、語彙力や文法の弱点も明確になります。

手順3:少しずつ区切って繰り返し聴く

次は、スクリプトを確認しながら一文ずつ音声を聴き、その後に繰り返して発音するプロセスです。発音する際、英文の意味をしっかりと理解しながら進めることが重要です。

文全体の意味を把握せずに進めると、発音の改善のみになってしまい、本来期待できるシャドーイングの効果が十分に発揮されません。

加えて、英文の内容を理解しつつ英語のまま単語や文法を捉えることで、英語で考える力を養うことが可能です。丁寧に練習することは、英語力全体の向上につながります。

手順4:音声を聴きながら同時に読む

少しずつ区切って繰り返し聴き、発音する練習を終えたら、次は音声を聴きながら同時に音読します。音声を聴いて、どの箇所が流れているのかをスクリプトで確認しながら、発音してみましょう。

最初は意味に集中し、慣れてきたら発音にも注意を払うとより効果的です。うまく声に出せない場合は、口パクでも構いません。まずは、音声とリズムを体で覚えることが重要です。

このように、音声を確認しながら実際に声に出すことで、英語のリズムやイントネーションが自然に身につきます。

手順5:スクリプトを見ながら音声に遅れて読む

続いて、スクリプトを見ながら音声に遅れて読みます。練習の際、英語を話すことより、音声をしっかりと聞き取ることが重点です。

英語のリズムやイントネーションに集中し、音声を忠実に再現することを目標に取り組みましょう。もし困難に感じる場合は、音声速度を落として練習することで、無理なく進められます。手順5の練習を通じて、英語の音を正確に捉える力が徐々に高まります。

手順6:なにも見ずに音声に遅れて発声する

これまでとは異なり、最後は英文を目で追わず、音声を聴いたあとに発声しましょう。具体的には、音声を聞いた数秒後に遅れて発音します。

スクリプトに頼らず、自分の記憶と耳を頼りに発声するため、より高度な練習となります。しかし、これまでの練習で基礎が固まっていれば、あまり困難には感じないでしょう。

何度も繰り返し練習することで、スムーズにシャドーイングできるようになります。うまくいかない場合は音声速度を下げたり、スクリプトで確認したりなどして徐々にレベルを上げていくことが大切です。

シャドーイングのコツ

シャドーイングのコツは、以下の6つです。それぞれのコツについて解説します。

単語や文法を理解する

シャドーイングを効果的に行うためには、土台となる単語力や文法力を事前にある程度は理解していることが重要です。いずれかが不足していると、音声を聴いても理解できる部分が限られてしまい、学習効果が低くなります。

そのため、英語に不慣れな人は、中学レベルの英語力をしっかりと習得してからシャドーイングに取り組むとよいでしょう。

ただし、初心者であっても基礎的な知識を学びながらシャドーイングを併用することで、語彙や文法を実践的に定着させることが可能です。最初は無理をせず、段階的に学習を進めましょう。

自分の音声を録音する

シャドーイングの際、自分の音声を録音することは有効な学習方法です。録音した自分の音声を聴くことで、発音が正確かどうかなどを客観的に確認できるため、シャドーイングで聴いている発音と比較することで改善点を見つけられます。

また、日々の録音を保存しておけば、自分の進歩を実感しやすくなります。たとえば、学習意欲が低下した際、初期の録音を聴くことで、自分がどれだけ上達したかを実感し、再び意欲を持って学習に取り組めるでしょう。継続的な記録は、学習の励みとなるはずです。

情景を思い浮かべる

シャドーイングするときに、情景を思い浮かべることは学習効果を高めるのに役立ちます。たとえば、ビジネスパーソンが社内で取り扱っている自社商品について議論している様子が題材になっているとします。

このような教材の場合、登場人物が実際に話し合っているシーンを想像しながら発音することで、内容の理解が深まります。また、話し手がどの部分に強調を置いているのか、声のトーンの変化なども背景を想像することでより把握しやすくなるでしょう。

このように、情景を思い浮かべながら練習することで、ただ単に音声を真似るだけでは獲得するのが難しい、より自然な発音や表現力が身につきます。

適度に休憩を挟む

シャドーイングをする際は、適度に休憩を挟みましょう。シャドーイングは、集中力が求められる学習法であるため、長時間続けると疲労が溜まり効果が薄れる可能性があります。

疲労がたまっている状態で無理に学習を続けるよりも、短時間に区切って集中して練習するほうが効率的です。1回の練習は15分から30分程度が適切で、1日に数回繰り返すと、リスニング力やスピーキング力が向上しやすくなります。

しかし、もしシャドーイングが楽しくてやめられない場合は、時間にこだわらず続けても構いません。無理なく続けられるペースで行うことが重要です。

自分に合った教材を選ぶ

シャドーイングを効果的に行うためには、現在の英語レベルや学習目的に合った教材を選ぶことが重要です。仮に初級者が上級者向けの教材に挑戦しても、期待する学習効果を得られず、むしろ挫折してしまう可能性があります。

一方で、上級者が初級レベルの教材を使っても、学べることが少なく、学習効果が薄くなってしまいます。そのため、自分のレベルに適した音源を選び、徐々に難易度を上げていくことが効果的です。

また、目的に合わせた教材選びも欠かせません。たとえば、英検やTOEICなどの試験を目指している人は、試験に出題される単語や文法に慣れるために、試験形式に即した教材を選ぶとよいでしょう。

旅行英語を学びたい人は、旅行に特化した音源を使うことで、実際の場面で役立つ表現を効果的に学べます。日常的な英語に触れる機会を増やしたい人は、ポッドキャストやラジオなどで、興味のある題材を選ぶとモチベーションを維持しやすいです。

第三者にチェックしてもらう

シャドーイングの練習を進める際には、第三者に自分の発音や抑揚をチェックしてもらうことをおすすめします。自分では気づかない発音の癖やリズムの違いは、他人からの指摘によって初めて認識できることがあります。

また、第三者に見てもらうことで、学習意欲が高まり、さらに集中して取り組めるでしょう。オンライン英会話や英会話スクールなどに通っている場合は、講師に発音の確認やアドバイスをもらうとよいでしょう。

ほかにも、英語を学んでいる友人や仲間と互いにチェックし合うのも効果的です。自分の発音だけでなく、他人の発音を確認することが、新しい気づきや改善点を見つけるきっかけになることがあります。

まとめ

シャドーイングは、リスニング力とスピーキング力、語彙力や文法力、そしてリーディング力を同時に向上させる効果的な英語学習法です。

正確な発音やイントネーションを習得し、英語をより自然に話す力が身につくため、初心者から上級者まで幅広く実践できます。ただし、効果を最大限に引き出すためには自分に合った教材を選ぶことが不可欠です。

産経オンライン英会話Plusでは、日常英会話やビジネス英会話、TOEICや英検など、あらゆる教材を取り扱っているため、幅広い目的に合わせた英会話レッスンが受講できます。

また、リスニングとスピーキングに特化したコーチングサービスをご用意しています。プロのコーチがあなただけの学習計画を立案し、最適な方法で英語学習をサポートします。

無料体験レッスンや無料相談会も実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。