ニュース英語とは?初心者でもわかる基礎知識
2025年02月27日 1時38分

みなさんは、「ニュース英語」に触れることはありますか?
ネットのニュースを、英語学習を目的に定期的に読まれている方も多いことと思います。その他、紙の英字新聞やTIMEなどの購読をされている方もいらっしゃるかもしれません。動画やTVでニュースを視聴されている方や、通勤時間に英語のニュースをラジオアプリで聴いていたりする方もいることでしょう。
「ニュース英語」に特段の定義はありませんが、本記事では、新聞またはそのネット版をメインに想定して、「ニュース英語」の特徴と英語学習のための効率的な活用方法をご説明します。
記事監修者
池﨑 真也
主な資格は、TOEIC980点、J-SHINE(小学校英語指導資格)、TEFL(外国語としての英語指導資格)。
麗澤大学外国語学部英語学科を卒業後、小学生向け英語教材開発に携わる。
その後、サンディエゴ州立大学のTEFL資格を取得。
英会話学校での指導、企業英語研修、大学での講義など、子供から大人まで、また英会話から資格試験、児童英語教育まで、約20年にわたる英語教授経験がある。
現在は、大学、英会話学校で教えながら、日々、英語教材・指導法の研究をしている。

▼主なニュースメディア

※産経ヒューマンラーニングにて独自作成
目次
「ニュース英語」の定義と特徴
「ニュース英語」には、外から見て分かる形式的な特徴と、文章の質的な内容面の特徴があります。以下の章では、その特徴を5つに分けてご紹介します。
ニュース英語の読み方|5つのルールとコツ
<ルール1>記事の構成を知る
ニュース英語は、新聞でもネット記事でも、以下の理由により記事が段落ごとに区切って書かれており、記事をどこでカットして読んでも意味が完結するようになっています。
◎限られたスペースを有効に使うため
◎読者に重要な情報を早く提供するため
この構成は、「逆三角形」に例えて説明されることが多いです。一番大事な事項から、だんだんと詳細や周辺的な内容に移っていく構造です。
英語では、見出しはHeadline、その次に来るリードはLead、そして本文はBodyと言います。その記事をどこまで深く読む必要があるかによって、必ずしもHeadlineとLeadとBodyを全部読まなくてもOKです。まずはHeadlineをざっと見て行って、気になる記事はLead、そしてBodyへと、読むことで内容を詳しく理解できるようになっています。
<ルール2>ヘッドラインの特徴を押さえる
英文記事のタイトルでは、限られたスペースで趣旨を伝え切るため、以下のような独特な表記がされます。
◎直近の過去の出来事を現在形で表す
◎未来の出来事をto不定詞で表す
◎冠詞やBe動詞を省略する
例1 :
ニュース英語らしい表現 ”Japan’s new Emperor makes first public appearance”
一般的な表現 “Japan’s new Emperor (made) (the) first public appearance.”
ニュースの即時性を伝えるために現在形が使われ、冠詞はスペースの節約のために省略されています。
例2 :
ニュース英語らしい表現 “Pop band Arashi to suspend activities”
一般的な英語 “Pop band Arashi (will) suspend activities.”
toを使ってスペースを節約して、これから起きることを表しています。
<ルール3>言い換え表現に慣れる
英語の文章技法では、同じ言葉を繰り返し使うことを「単調で稚拙な文章」として、避ける傾向があります。特に、ニュースのような公共性の高い記事では、その傾向が強く出ます。
このため1つの記事の中でも、同じ意味の言葉が「違う言い方」あえて「凝った言いかえ表現」で何回も繰り返し出て来ることが多いです。それらに惑わされずに、どれとどれは同じことを指すのか、しっかり見抜きましょう。慣れると、言いかえ表現の巧みさが、逆に楽しめるようになることでしょう。
<ルール4>数字や単位の聞き取りに慣れる
このルールは、特にニュースを「聴く」時に内容についていくために必要になります。文字で見ればわかる数字も、耳で聴くと難しいですよね。ここでは特に、2つのTIPSを取り上げます。ニュースに限らず役立つ事項なので、慣れていきましょう。
【TIPS】桁の大きい数字の読み方
英語では、桁の大きい数字は、ゼロ3つごとに言い方が変わることがポイントです。
ゼロ3つなら 1,000 a thousand
ゼロ6つなら 1,000,000 a million
ゼロ9つなら 1,000,000,000 a billion
ゼロ12なら 1,000,000,000 a trillion
【TIPS】00や000のついた数字の読み方
頭は2桁ずつ読むのがポイントです。
1,400 fourteen hundred
10,000 ten thousand
77,000 seventy-seven thousand
<ルール5>気の利いた表現を楽しむ
5つ目は、ルールというよりニュース英語を読む醍醐味のような部分です。
日本の新聞や報道は中立的でスキのない表現が前提となっていますが、海外のニュースは、文章としてもひねりやユーモア、巧みな比喩などを効かせたものが多く見られます。「ピリリと効かせた文章を読む」という知的な楽しみが、海外ニュースにはあります。少し高度な部分かもしれませんが、ぜひニュース記事のそういった面にも注目してみましょう。
ニュース英語を勉強するメリット
ここからはニュース英語を勉強するメリットを5つご紹介します。
1.語彙が増える
特に、英検準1級や1級で扱われるような、アカデミックな分野の記事を読み解く力をつけるのには適しています。ニュースの文脈の中で日頃から高度な単語に触れておくことは、中上級者の学習法としては非常にオススメです。また、“今を知る”語彙が増えるのが、ニュース英語を学ぶメリットです。
2.興味のある話題で学習できる
英語学習のためとは言っても、自分が読みたい/話したい話題で学べると、学習もやる気が出て、効果も上がりますよね。社会、エンタメ、科学など、日々更新される記事の中から、ご自身の興味にあったものをぜひ見つけてみましょう。
3.最新のトレンドや常識が身につく
ニュースの内容面の点でも、英語ニュースが教えてくれることは多くあります。海外のZ世代やビジネスパーソンのトレンドや価値観、“バズワード”など、日本のマスメディアではまだ取り上げられていない情報をキャッチできる機会となるでしょう。まだ辞書に載っていない単語や表現を知ることができます。
4.リアルな英語表現を学べる
実際に現地で使われている表現がどんどん織り込まれているのが、生の英語ニュース読んだり聴いたりする醍醐味です。
例えば日本のニュースで当時よく聞かれた「コロナ禍」という言葉ですが、英語では“the coronavirus pandemic”や“COVID-19 pandemic”といった言葉が使われていることも、英語ニュースを見ていれば一目瞭然です。最新ワードをリアルタイムで習得することができます。
5.無料の教材が多い
教材にはもちろん無料のものから有料のものまでありますが、<産経オンライン英会話plus>で取り扱っている産経新聞のJapan Forwardや、VOAのニュースなどば、記事自体はネットで誰でも無料で閲覧が可能です。ほかにもこのようなサイトやアプリが多く存在します。以下でおすすめのサイト10選をご紹介します。
ニュース英語の勉強法|リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング
リーディング:VOA、BBC、The Japan Timesなど
BBCやVOAなど、欧米や世界のニュースを扱うサイトは、無料で閲覧できます。
英語で書かれた日本の新聞である”The Japan Times”には、”The Japan Times Alpha”という、英語学習用の週刊ダイジェスト版新聞の購読サービスもあります。
リスニング:レシピー、ポッドキャストなど
英語学習アプリ<レシピー>*では、VOAやJapan Timesなど、さまざまなニュースソースからの記事が毎日配信されます。その他、BBCやThe Wall Street Journalなど各メディアが配信をしています。記事の長さと難易度を見ながら、ご自身のレベルや学習スタイルに合ったアプリを見つけるとよいでしょう。まずざっくり全体を聞いて骨子をつかむ練習をしたり、音声についてシャドーイングして聴こえた音を口に出してみることなども、大変効果的です。
*<産経オンライン英会話plus>では、対象のコース受講者は<レシピー産経版>をご利用いただけます。
スピーキング:オンライン英会話(ニュース教材あり)など
<産経オンライン英会話plus>では、産経新聞のJapan Forwardや、VOAのニュースから、英語学習に適したトピック・難易度の記事をピックアップしています。会話の題材として、講師とのレッスンに活用いただけます。
ライティング:ディクテーション、ニュース記事要約・意見を書く練習
1人でもできる学習法としては、ニュースの一部だけでもディクテーションをしてみることは、“精聴”(正確に聞き取ること)の力をつけるのに、絶大な効果があります。ディクテーションは全文行うのは大変なので、スクリプトが見られるリスニング素材の場合に、気になる文だけトライしてみるなどがオススメです。
その他、学ぶ仲間や先生がいる際には、記事の要約や意見を書くなども、やり応えがあるアクティビティとなるでしょう。昨今はChat GPTなどのAIを相手に、自分の意見を入力して文法チェックや論旨のチェックをしてもらうことも可能です。
【レベル別】ニュース英語が学べるおすすめサイト10選
初中級(TOEIC500~600):
①NHKラジオ ニュースで学ぶ現代英語
NHKラジオ「ニュースで学ぶ現代英語」 は、NHKが提供する英語学習プログラムの一つで、実際のニュースを題材にしながら現代英語を学べるラジオ講座です。
最新の時事ニュースをもとに、重要な単語や表現を解説し、リスニング力や語彙力を効果的に向上させることができます。英語学習者にとって、実際のニュース英語に触れながら学べる貴重な教材として人気があります。
サイトリンク:https://www.nhk.jp/p/rs/77RQWQX1L6/
少しゆっくり目の音声なので聴きやすい。英語→日本語が交互に流されるパートもあるため、意味を取りながら英語ニュースに慣れて行きたい方、高校生などにも適しています。
②News in Levels
News in Levels(ニュース・イン・レベルズ) は、英語学習者向けに設計されたオンラインニュースサイトで、同じニュース記事を3つの異なる英語レベル(初級・中級・上級)で提供しています。
シンプルな単語や文法から徐々に難易度を上げながら読むことで、自然に英語力を向上させることができます。また、音声付きの記事もあるため、リスニング学習にも適しています。英語初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて無理なくニュースを学べるのが特徴です。
サイトリンク:https://www.newsinlevels.com/
世界のニュースを、3段階の難易度で表示してくれるサイトです。ニュースの分量も短く、初めてでも取り組みやすいでしょう。
③The Japan Times Alpha
The Japan Times Alpha(ジャパン・タイムズ・アルファ) は、英語学習者向けの週刊英字新聞で、日本の英字新聞 「The Japan Times」 が発行しています。時事ニュースや文化、ライフスタイルに関する記事を 初級・中級・上級の3つのレベル で掲載しており、語彙や文法の解説も充実しています。
リスニング用の音声コンテンツや、TOEIC®・英検® 対策に役立つコーナーもあり、英語学習者が実践的な英語力を身につけるのに最適な教材です。
サイトリンク:https://alpha.japantimes.co.jp/
読みやすくダイジェストされた英語ニュース記事が読めます。※全ての記事の閲覧には購読が必要です。
中級(TOEIC700前後):
④Japan Forward
JAPAN Forward(ジャパン・フォワード) は、日本のニュースや文化、政治、経済、スポーツなどを英語で発信するオンラインニュースメディアです。2017年に設立され、日本の視点から国際的な話題を伝えることを目的としています。
日本国内のニュースだけでなく、歴史や伝統、最新の技術・イノベーション、外交・安全保障など、多岐にわたるテーマを扱い、日本の魅力を世界に発信することに力を入れています。
サイトリンク:https://japan-forward.com/
産経新聞による、日本国内のニュースを、英語と日本語両方で読めるサイトです。記事の長さや文字の大きさも、初めて英語ニュースに挑戦する中級者に適しています。
⑤VOA Learning English
VOA Learning English(VOA ラーニング・イングリッシュ) は、アメリカの国営放送 Voice of America(VOA) が提供する英語学習者向けのニュース・教育プログラムです。
平易な英語(簡単な語彙・文法・ゆっくりとした発音)を用いたニュース記事や動画が特徴で、リスニングやリーディングの学習に適しています。時事ニュースに加え、日常英会話や発音、アメリカ文化に関するコンテンツも充実しており、英語初心者から中級者まで幅広く活用できます。
サイトリンク:https://learningenglish.voanews.com/
VOAニュースの中でも、特に英語学習者用に配信されているサイトです。キーとなる単語が、英語で文末に解説されています。
上級(TOEIC850以上):
以下はすべてネイティブが読むニュースサイトなので、題材から語り口まで本場の空気を直に感じられる内容となります。高度な英語力はもちろんのこと、グローバル世界の最先端の情報に触れることができます。
⑥BBC
BBC(British Broadcasting Corporation/英国放送協会)は、イギリスの公共放送局であり、世界で最も歴史のある放送機関の一つです。1922年に設立され、広告に依存しない受信料制度によって運営されています。
BBCは、ニュース・ドキュメンタリー・ドラマ・エンターテインメントなど、多岐にわたる番組を提供しており、公正で信頼性の高い報道姿勢が特徴です。また、世界中の視聴者向けに 「BBC World News」 や 「BBC Learning English」 などのサービスを展開し、英語学習や国際ニュースの発信にも力を入れています。
サイトリンク:https://www.bbc.com/news
⑦CNN
CNN(Cable News Network) は、アメリカのニュース専門チャンネルで、1980年にテッド・ターナーによって設立されました。世界で初めて24時間ニュース放送を開始したテレビ局として知られ、国際的な報道ネットワークを持つメディアの一つです。
CNNは、政治・経済・社会・スポーツ・エンターテインメントなど幅広いニュースをリアルタイムで提供し、特にアメリカ国内外の最新情報に強みを持っています。また、英語学習者向けに 「CNN 10」 や 「CNN Learning English」 などのサービスも提供しています。
サイトリンク:https://edition.cnn.com/
⑧The New York Times
The New York Times(ニューヨーク・タイムズ) は、1851年に創刊されたアメリカ最大の地方紙で、世界的に影響力のある報道機関の一つです。政治・経済・国際ニュース・文化・科学・ライフスタイルなど幅広い分野を扱い、深い分析や調査報道に定評があります。
また、オンライン版では最新ニュースの速報や解説記事を提供し、「The New York Times Learning Network」 など英語学習者向けのコンテンツも充実しています。ジャーナリズムの質の高さから、数多くのピューリッツァー賞を受賞していることでも知られています。
サイトリンク:https://www.nytimes.com/
⑨The Wall Street Journal
The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル、WSJ) は、1889年に創刊されたアメリカの経済・ビジネス専門紙で、世界的に影響力のあるメディアの一つです。特に金融・経済ニュースに強みを持ち、企業動向や市場分析、政治・テクノロジーに関する報道も幅広く提供しています。日本で言うと日経新聞の位置づけに近いでしょうか。
オンライン版では、リアルタイムのニュース速報や専門的な分析記事を掲載し、グローバルな投資家やビジネスパーソンにとって重要な情報源となっています。
サイトリンク:https://www.wsj.com/
⑩TIME
TIME(タイム) は、1923年に創刊された“世界初のニュース雑誌”と言われる老舗メディアで、世界最大のニュース週刊誌とされています。政治・経済・国際情勢・科学・文化・エンターテインメントなど幅広い分野を扱い、わかりやすくまとめられた記事や独自の視点による特集が特徴です。
特に、毎年発表される 「TIME 100(世界で最も影響力のある100人)」 や 「Person of the Year(今年の人物)」 は世界的に注目されています。オンライン版では最新ニュースやアーカイブ記事も閲覧可能で、英語学習者にとっても有益な情報源となっています。
サイトリンク:https://time.com/
ニュース英語を使った効果的な勉強法
どのレベルを選ぶべきか?
中級レベル以下の方は、ネイティブ向けのニュースそのものではなく、英語学習者や外国人向けに語いレベルや話すスピード、分量などを調節したものからだと、取りかかりやすいでしょう。<産経オンライン英会話plus>でも扱っているVOAは、最新の世界の話題が、リーディングにもリスニングにも適したレベル感にコントロールされているという意味で、大変貴重なニュースソースと言えます。
また、「Japan Forward」や「The Japan Times」のような、日本に関連した内容の記事は、内容が想像しやすいのでオススメです。
そのほか、『1日1分!英字新聞●年度版』(祥伝社黄金文庫)という文庫本は、毎年最新版が出版され、ベストセラーとなっています。ニュース英語の入門書としてオススメです。
毎日続けるためのコツ
ご自身の生活スタイルとレベルにあったニュースコンテンツを選び、習慣化するのがオススメです。電車に20分乗るなら、その時間内で必ず1記事は読む、または電車が混んでいても耳だけで聴く、といった方法です。ニュース記事の“尺”(時間)は、活用し切れるかのポイントとなるため、あまり長すぎるものではなく、ご自身に合ったものを選ぶとよいでしょう。大体のアプリでは、所要の分・秒数が添えられています。
学習内容を記録する方法(ノート・アプリ)
記録は必須ではありませんが、<産経オンライン英会話plus>でも使える英語学習アプリ<レシピー>では、アプリ内で読んだり聴いたりしたニュース記事について、覚えておきたい新出単語のみを、「ブックマーク」という機能で、まとめて保存ができます。ストックした単語を見ることで、どんな記事を読んだかの記録にもなっていくので、オススメです。
読んだニュースをアウトプットする方法
<産経オンライン英会話plus>のニュースディスカッションなど、講師とニュース内容を共有しながらのトークは、英語学習とグローバル感覚が養われ、一石二鳥です。フリーに話す力をつけたい時も、何か題材があった方が話がしやすいものです。お互いの文化や価値観の違いなどの発見にもつながるため、ぜひ英語学習にニュース記事をどんどん役立ててみてください。
まとめ
英語ニュースを英語学習に利用することの良さは、毎日最新の話題に触れ続けられることで、何よりも学習のモチベーションが持続しやすいことです。また、「ざっくりつかむ」「ていねいに正しく聞き取る」「ディスカッションの材料として使用する」など、学習の目的や状況に応じて、活用の仕方も無限大です。さらに、題材や言い回し、論旨構成や主張等の中に、英語という言語の持つ文化的・社会的な価値観が織り込まれているため、グローバルな一般常識や教養が身につくという意味で、英語学習のためだけに留まらない、知的な刺激の得られる学習教材と言えます。
ご自身の興味やレベル、生活・学習スタイルに合ったニュースメディアを見つけ、ぜひ英語ニュースの世界を楽しまれてください。