英語が「聞こえる耳」をつくる完全ガイド

英語が「聞こえる耳」をつくる完全ガイド

2025年12月23日 1時52分

英語リスニング イメージ

英語が「聞こえる耳」をつくる完全ガイド

「英語を毎日勉強しているのに聞き取れない…」
そんな相談を、これまで本当に数えきれないほど受けてきました。

多くの方は「単語力が足りないから聞こえない」と思い込みがちですが、実際はそうではありません。

英語が聞き取れない多くのケースは、英語”特有の仕組み”を脳がまだ処理できていないだけで、正しい順番で学べば誰でも改善できます。

この記事では、英語が聞き取れなくなる理由をわかりやすく整理し、さらに中級者が最短で「聞こえる耳」を作る具体的な方法を、英語例文とともに詳しく解説します。

英語が聞き取れない原因

1. 英語が聞き取れない主な4つの原因

1. 音声変化

まず大きい原因は 音の変化 です。英語は実際の会話になると、語と語の境目が消えたり、弱く発音されたり、省略されたりします。

たとえば

most of the time → mos-tuh-the-time
told him about it → tol-dim-abou-dit

辞書通りの音で覚えていると、脳がこの変化を単語として認識できず、音がただ流れ去るように感じてしまいます。

これはリスニング力が低いわけではなく、”変化した英語の音” を脳がデータとして持っていないだけです。辞書のきれいな音しか知らない状態で、いきなり自然な英語を聞くと、脳が「知らない音」として扱い、処理が追いつかなくなります。

この音変化は、英語のリズムと発音の仕組みが原因で必ず起こるものであり、どれだけ単語力を増やしても自然な会話が聞き取れるようになるわけではありません。

音変化に慣れていない状態では、会議や海外ドラマの英語が「速すぎる」と感じますが、実際にはスピードの問題より “音の形が違う” ことのほうが大きなハードルです。

英語が聞き取れない理由の中でも、この音変化は最も誤解されがちであり、克服できればリスニング力が一段階上がります。

2. 英語の単語処理

英語を聞いていると、ある一つの単語が引っかかった瞬間に、そこから先の内容がすべて聞こえなくなる——。これは中級者が最もよく経験する”リスニングの落とし穴”です。

たとえば、regulation / supply chain / logistics / complianceといった語が突然出てくると、多くの学習者は「この単語の意味なんだっけ?」と脳が立ち止まってしまいます。

そして、単語の意味を思い出そうとした瞬間、話者はすでに次の文に進んでいます。そのため、単語そのものよりも “その後の重要な説明” を丸ごと聞き逃してしまうのです。

実際に起きていることは、とてもシンプルです。

人間の脳は、「単語を思い出す作業」と「英語を聞き続ける作業」を同時に行うことが得意ではありません。

たとえばこんな場面を想像してください。

Due to the new regulation, we may need to adjust our supply chain strategy over the next quarter.

もし regulation を必死に思い出そうとすると、後半の adjust / supply chain / next quarter の重要な部分がすべてこぼれ落ちてしまいます。

この「単語に気を取られた瞬間に全体が崩れる現象」は、単語力不足ではなく、単語処理のスピードと語彙耐性(unknown word tolerance)が不足していることが原因です。

特に中級者は、知っている単語が増えてきただけに、知らない単語に遭遇するストレスが大きくなり、処理が止まりやすくなります。

3. 英文の情報量に圧倒される”処理容量オーバー現象”

英語のリスニングで多くの方がつまずく原因のひとつに、英文の情報量に対して脳の処理が追いつかなくなる “処理容量オーバー” があります。英語は日本語よりも一文の中に多くの要素を詰め込む傾向があり、しかも重要な内容が文の後半に置かれることがよくあります。これにより、前半を理解している間に後半が抜け落ちるという現象が起こります。

たとえば次のような文を聞いてみてください。

If we don’t see improvements by next quarter, we might need to revise the entire plan.

文の前半には「条件」、後半には「重要な結論」が入っています。

しかし、多くの学習者は前半の If we don’t see improvements… を処理している段階で脳のワーキングメモリが占有されてしまい、その瞬間に後半の “revise the entire plan” という核心部分が入ってこなくなります。

このとき起きているのは、英語力不足というより 短期的に処理できる情報量の限界(ワーキングメモリの容量) です。

その結果、聞こえているはずなのに意味がつながらない、最後の部分だけ毎回聞き逃す、という状態が続いてしまいます。

4. 背景知識が不足すると、簡単な英語さえつながらない理由

背景知識が不足していると、実はとても簡単な英文でも意味がつながらなくなります。

たとえば会議で

That’s why we couldn’t move forward with it.

と言われた場合、一見すると理解できる文ですが、文脈がなければ “it” が何を指しているのか判断できません。プロジェクトの承認なのか、予算申請なのか、あるいは外部との契約手続きなのか、どれも当てはまり得るからです。

英語は日本語以上に文脈依存度が高く、状況や背景が共有されている前提で話が進みます。背景知識が抜けていると、聞こえた音が”意味の流れ”につながらず、理解が途切れてしまいます。これは単語力ではなく「コンテキスト不足」から起こる典型的なリスニングの壁です。

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2. 聞き取れる耳を作るための改善ステップ

「発音記号」と「音のルール」の習得

英語のリスニングを伸ばすうえで、意外と抜け落ちやすいのが 発音記号と音のルールの理解 です。これは「正しい発音をするための学習」ではなく、聞こえた音を正しく認識するための”リスニングの基礎” になります。

英語の単語は、スペル通りの音で発音されることのほうが少なく、expect /ɪkˈspekt/の最初の音は /e/ ではなく /ɪ/ に近く、condition /kən-ˈdɪʃ.ən/ の o は曖昧母音 /ə/ になって弱く発音され、強勢(ストレス)は後半に置かれます。

このような「本来の音」を知らないまま聞くと、耳に入ってくる音が頭の中のイメージと一致せず、まるで別の単語のように聞こえてしまいます。これは中級者が「知っている単語なのに聞こえない」と感じる典型的な理由です。

さらに会話では、教科書には載っていない 音のルール が常に起きています。

連結(linking)

look at it → look‐a‐dit

弱形(reduction)

told him → toldim

脱落(elision)

next day → nexday

これらの変化を脳が単語として認識できず、「速すぎて聞こえない」「単語がつながって聞こえる」と感じてしまいます。

音がどう変わるかを知ることでリスニング力が改善されます。

チャンクで楽になるリスニング

英語が聞き取れるようになるためには、”長い英文を追う” ことよりも、”短い意味のかたまり(チャンク)で理解する力” を作ることが最優先です。英語は単語単位ではなく「意味ブロック」で流れてくる言語だからです。

たとえば、以下のように区切ると意味が入りやすくなります。

I’m working on the reports / right now, / and I’ll finish them / as soon as I can.

「今レポートに取り組んでいて、できるだけ早く仕上げます」

チャンクで聞けるようになると、英語が”音の連続”ではなく”意味の流れ”に変わります。

また、英語は日本語のように「後ろから全体像をつかむ」言語ではないため、意味を前から処理する力を育てることが必要です。そのため、チャンクを意識して聞けるようになると、英文を単語ごとに追うのではなく、意味の流れに沿って”まとまり”として理解できるようになります。

効果のあるリスニング学習

英語のリスニングを伸ばすためには、語彙や文法の知識を増やすことももちろん大切です。ただ、知識をどれだけ増やしても、音を処理する脳の習慣が整っていなければ、実践では聞き取れません。

そのため、中級者がまず取り組むべき優先度の高い学習は「音 → 意味」を素早くつなぐ処理習慣を作ることです。

その基礎となるのが、短いフレーズの反復練習です。

例文:

We’ll need to adjust the schedule.

I’m reviewing the numbers right now.

That depends on the next update.

こうした短いフレーズを、正しい音とリズムのまま繰り返し声に出すことで、脳内に「音と意味の回路」が構築されます。

この回路が増えるほど、新しい会話でもパターンをすばやく認識できるようになり、聞こえるスピードが自然と上がります。

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3. “リアルな英語”に対応できる耳を育てる実践法

ネイティブの”リアルな音”を聴ける三段階アプローチ

リスニング力を伸ばすうえで、教科書や一般的な教材だけでは到達できない領域があります。それが、 ネイティブが日常で実際に使っている”リアルな音” に触れることです。映画やドラマ、海外のYouTubeチャンネルには、教科書では決して再現されない、現実のスピード・間・音の崩れ方がそのまま収録されています。

たとえばドラマでは

Did you get it?Jegetit?
What do you want to do?Whaddaya wanna do?

のように崩れて聞こえます。教材のように1語ずつ丁寧には発音されず、語と語が強く結びつき、弱形が連続し、不要な音が省略されます。

こうした変化は実際の会話では常に起きていますが、通常の教材では十分に触れることができません。

映画やドラマを学習に取り入れる最大のメリットは、英語の”リアルな音の法則”を自然に吸収できること です。速度、リズム、間合い、会話のテンポなどは、文字だけでは決して学べません。また、ビジネスパーソンにとっては、海外の会議や現地同僚の話し方に近い環境に早い段階で慣れることができ、実践への移行が非常にスムーズになります。

ただし、いきなり字幕なしで映画を見る方法は非効率です。リスニング力を上げるためには、次の「サイクル学習」を使うことで、効果が何倍にも高まります。

映像学習で最も効果が高い”字幕 → 音声 → 字幕” のサイクル学習

映画・ドラマのリスニング学習では、次の3ステップを繰り返すことで、文字に頼らず、音で意味を取れる耳 が育っていきます。

1回目

字幕ありで視聴し、内容をざっくり把握する

2回目

字幕ありで音読をする

3回目

字幕なしで視聴し、音だけに集中する

1回目は字幕ありの状態で視聴し、全体の内容を大まかに掴みます。ここでは細部を追う必要はなく、「何が話されているのか」の枠組みを作ることが目的です。

2回目のフェーズでは字幕を使って音読します。この段階が非常に重要で、英語のリズム・強弱・文の流れを、自分の口で再現しながら体に取り込む工程になります。音読をすることで、英語の音が「見て理解するもの」から「聞いて理解するもの」へと変換され始めます。

3回目の視聴で字幕を外し、純粋に音だけに集中します。この”字幕なしで聞くフェーズ”では、聞き取れなかった部分・崩れた発音・弱形などが明確に浮き彫りになります。これこそがあなたの “改善すべきリスニング課題” であり、ただ聞き流しているだけでは絶対に気づけないポイントです。

このステップは、英語の音を「文字 → 音 → 理解」へとつなげる効果的な学習法です。特に 2回目の音読 を挟むことで、3回目の字幕なし視聴の質が大きく変わります。

この順番で学ぶと、脳が「文字 → 音 → 理解」という処理ではなく、”音そのもの”を手がかりに理解する回路 を作れるようになります。

こうしたプロセスを踏むことで、英語がただの「速い雑音」ではなく、「意味を運ぶ音」へと変化していきます。

リスニング教材は”速度”と”音の自然さ”で選ぶ

リスニング力を本気で伸ばすためには、「どの教材を使うか」が思っている以上に大切です。というのも、教材によって 音のくっきり度、スピード、イントネーションの自然さ に大きな差があるからです。

どれだけ努力しても、現在のレベルに合っていない音源を使うと耳が育たず、伸び悩みにつながります。

基礎を固めたい段階

ゆっくり・はっきり話される音源が効果的です。NHKやVOAのような素材は、初心者〜中級への橋渡しとして非常に優秀で、音の基礎パターンを負荷なく吸収できます。

中級者レベル

“自然なスピードの英語”に触れることが欠かせません。TEDやBBCのスピーチは、発音がクリアでありながら実際の会話に近いテンポのため、「聞き取れるけれど少し難しい」という理想的な負荷が得られます。

リスニングに必要な抽象語彙や論理展開にも触れられるため、中級者の成長を特に後押しします。

実践レベル

映画・ドラマ・インタビューなど、リアルな音変化が容赦なく出てくる音源が最も鍛えられます。登場人物の感情によるスピード変化、語尾の弱まり、単語同士の連結など、教科書では出会えない「生の英語の癖」を吸収できるからです。

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まとめ:リスニングは”才能”ではなく”仕組み”です

英語が聞き取れないのは、記憶力やセンスの問題ではありません。音変化、語順処理、推測力、チャンク化など、複数のスキルが同時に必要になるため、正しい順番で鍛えないと成果が出にくいだけです。

そして、原因さえわかればリスニングは確実に伸ばせます。3〜6ヶ月あれば「聞こえ方」は大きく変わり、会議でも映画でも「意味が流れて聞こえる」感覚を手に入れられます。

もしあなたが今、英語が音の塊にしか聞こえないとしても、大丈夫です。それは能力不足ではなく、聴く耳の”構造”が整う前の段階にいるだけです。

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