営業職がビジネスで使える英語表現ガイド~そのまま使える表現を解説~
2025年12月08日 12時49分
導入:営業に求められる「英語力」
ビジネスのグローバル化が進む現代、営業職における英語力の重要性は年々高まっています。海外企業との取引や外資系企業でのキャリアアップを目指す方にとって、英語はもはや一部の人のまたは特別な人の”スキル”ではなく、ビジネスチャンスを広げるための必須ツールです。
この記事では、これから英語で営業をする機会がある方や、営業英語を本格的に学びたい方に向けて、実際の場面で使える英語フレーズから勉強法までをわかりやすく解説します。
営業で英語が求められる場面とは?
英語が必要になる営業シーンはさまざまです。どんな業務にどのスキルが必要かを理解し、優先的に鍛えるべき能力を見極めましょう。
| 営業場面 | 主な活動内容 | 重要スキル | 求められる具体的能力 |
|---|---|---|---|
| 海外との初回アプローチ | メール作成、資料読解(市場調査)、オンライン挨拶 | ライティング/リーディング(中級) | 丁寧なメール作成、相手企業や文化の理解 |
| 国際展示会・イベント | 来場者への製品説明、名刺交換、次のアポイント獲得 | スピーキング/リスニング(中級〜上級) | 製品を簡潔に説明し、多様な発音に対応する力 |
| 本格的な商談・交渉 | プレゼン、価格交渉、質疑応答 | リスニング/スピーキング(上級) | 相手の真意を読み取り、論理的に説得する力 |
| 契約・導入後のフォロー | 契約書確認、進捗メール、技術部門との連携 | リーディング/ライティング(中級〜上級) | 正確で丁寧な英文メール作成能力 |
| 外資系企業での会議 | グローバル会議での報告、議論 | スピーキング/リスニング(上級) | 意見を明確に述べ、議論をリードする力 |
英語で営業を成功させる【信頼構築の3つの鉄則】
英語営業では、流暢さよりも「信頼」を築くことが何より大切です。ここでは、関係性を深める3つの鉄則を紹介します。
1. 丁寧でポジティブな言い回しを使う
英語には敬語表現こそないものの、クッション言葉で丁寧さを示すことができます。
Can you send it?
Could you possibly send it by tomorrow?
(できれば明日までに送っていただけますか?)“Can / Could you~?” “Can / Could I~?” “Would you~?”など、助動詞を使った言い回しに慣れていきましょう。
英語の基本クッション言葉
| 機能 | クッション言葉 | 意味・ニュアンス |
|---|---|---|
| 依頼/質問 | Could you possibly…? | 「できれば~していただけますか?」 |
| 依頼/質問 | Would you mind…? | 「~するのはご迷惑ではありませんか?」 |
| 提案/意見 | Perhaps we could… | 「もしかしたら~できるかもしれません」 |
| 許可を求める | May I suggest…? | 「~をご提案してもよろしいでしょうか?」 |
| 謝罪/困難 | I’m afraid that… | 「残念ながら~です」 |
| 感謝/配慮 | Thank you for taking the time to… | 「お時間を割いていただきありがとうございます」 |
また、断るときも「No」だけで終わらせず、ポジティブな代替案を出しましょう。
✅ I’m afraid that we can’t do that, but we could offer a discount instead.
2. 相手の文化を尊重する
商談前の雑談(small talk)を重視する国もあれば、すぐ本題に入る文化もあります。
事前に相手の国のビジネスマナーを調べ、文化に合わせた話し方を意識しましょう。
また、会議の進め方や意思決定のスピードも国によって異なります。相手のスタイルを尊重する姿勢が信頼につながります。
3. 「正確さ」と「簡潔さ」を意識する
営業の目的は「伝わること」。難しい表現を避け、結論 → 理由 → 提案の順で話すのが効果的です。
また、早口にならず「ゆっくり・はっきり」を意識しましょう。沈黙は焦るものではなく、”考える時間”と捉えて意図的に余白の時間を作ることも有効です。
【場面別】営業で使える英語フレーズ集
営業で英語を使う場面は、自己紹介から商談・価格交渉・クロージング・お礼メールまで多岐にわたります。
ここでは、どんなシーンでもすぐに使える定番フレーズ+自然な言い換えを紹介します。
3-1. 自己紹介・会社紹介
最初の印象を左右するのが、冒頭の挨拶と自己紹介です。丁寧かつシンプルな表現を意識しましょう。
| シーン | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 挨拶 | It’s a pleasure to meet you. | お会いできてうれしいです。 |
| 自己紹介 | I’m [名前], from [会社名]. | [会社名]の[名前]と申します。 |
| 所属部署 | I work in the sales department. | 営業部に所属しています。 |
| 初対面時 | Thank you for taking the time to meet today. | お時間をいただきありがとうございます。 |
| 信頼を築く一言 | I’m looking forward to working with you. | 今後ご一緒できるのを楽しみにしています。 |
初対面では “Nice to meet you.” より “It’s a pleasure to meet you.” の方が、フォーマルで営業向きです。また、自分の専門性(My speciality)について、少し触れる表現を入れると、自己紹介が印象的になり信頼性にさらにつながるでしょう。
3-2. 商談・プレゼンでの英語フレーズ
プレゼンや提案時には、論理的な流れと相手の理解を確認する表現が大切です。
| シーン | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 導入 | Let me start by explaining our main service. | まず弊社の主なサービスについてご説明します。 |
| 製品の強調 | What makes our product unique is its flexibility. | 当社製品の特長は柔軟性です。 |
| 理解確認 | Does that make sense so far? | ここまででご不明な点はありますか? |
| 提案 | Based on your needs, I’d recommend this plan. | 御社のご要望から、このプランをおすすめします。 |
| 強調 | I’d like to highlight three main points. | 3つの重要な点を強調したいと思います。 |
| 譲歩 | We could consider adjusting the price for a larger order. | 大口のご注文であれば価格調整も検討可能です。 |
“Let me explain…” や “I’d like to highlight…” のように「自分の意図を明確に示す表現」を使うと、信頼されやすくなります。
3-3. 製品説明の英語表現
| シーン | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 特徴紹介 | This product is designed to improve efficiency. | この製品は効率を向上させるために設計されています。 |
| 比較 | Compared to similar products, ours is more cost-effective. | 同様の製品と比べて、コストパフォーマンスが高いです。 |
| デモ中 | As you can see, it’s very easy to operate. | ご覧の通り、操作はとても簡単です。 |
| 強調 | Another key feature is its durability. | もう一つの特長は耐久性です。 |
| 導入提案 | We believe this will be a good fit for your business. | 御社の業務に適していると思います。 |
“cost-effective” “user-friendly” などのビジネス形容詞は営業英語の基本。繰り返し使って慣れましょう。
3-4. 価格交渉・条件提示のフレーズ
価格交渉では、柔らかく断る表現や代替案を提示する言い方がカギです。
| シーン | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 値下げ依頼への回答 | I’m afraid that’s difficult at this stage. | 現時点では難しいかもしれません。 |
| 譲歩案 | However, we can offer a 5% discount for bulk orders. | ただし、大口注文の場合は5%の割引が可能です。 |
| 提案確認 | How does that sound to you? | いかがでしょうか? |
| 検討中 | Let me check with my manager and get back to you. | 上司に確認して折り返します。 |
| 決断促し | If you decide by the end of this week, we can secure this price. | 今週中にご決定いただければ、この価格を確保できます。 |
“No” を避けたい場面では “It might be difficult.” や “Let me check.” で柔らかく伝えるのが営業の基本です。
3-5. クロージング・お礼の英語表現
最後の印象が次の商談につながります。丁寧かつ前向きに締めましょう。
| シーン | 英語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 締めの一言 | Thank you for your time today. | 本日はありがとうございました。 |
| 今後の提案 | We’ll follow up with a detailed quotation. | 後日お見積もりをお送りします。 |
| 継続意欲 | I look forward to working with you again. | またご一緒できるのを楽しみにしています。 |
| 感謝 | I really appreciate your interest in our product. | 弊社製品にご関心をお寄せいただき感謝いたします。 |
| 別れ際 | Have a great day ahead! | 良い一日をお過ごしください! |
メールでも対面でも “I look forward to working with you.” は万能。ビジネス英語で最も使われる締め言葉の1つです。
コラム:営業英語で「信頼される話し方」とは?
営業で英語を使う際、重要なのは「正しい文法」よりも「相手への配慮」です。
日本語でも「丁寧だけど回りくどい」話し方があるように、英語でも過剰に直接的だと印象を損ねることがあります。
“I see what you mean.”(おっしゃることは理解しました)
“Thank you for pointing that out.”(ご指摘ありがとうございます)
英語での営業メール例文集
メールは初対面や商談後に信頼を築く重要なツールです。
ポイントはシンプル・明確・丁寧です。
4-1. 初回アプローチメール
Dear Mr./Ms. [Last Name],
My name is [Your Name] from [Your Company]. We specialize in [Your Area of Expertise].
I noticed that [Company Name] is focusing on [Issue/Goal], and we believe our [Product/Service] could significantly help you [Specific Benefit, e.g., reduce costs by 20%].
Would you be open to a brief 15-minute call next week to discuss this further?
Best regards,
[Your Name]
- 件名は簡潔に。受信箱で目を引く表現に。
- 「簡単な電話/ミーティング」の提案で相手のハードルを下げる。
4-2. 商談後フォローメール
Dear Mr./Ms. [Last Name],
Thank you again for the productive meeting earlier today. I enjoyed discussing [Topic].
As promised, I have attached the full proposal/detailed data for your review.
Please let me know if you have any further questions. I look forward to hearing your feedback.
Sincerely,
[Your Name]
- 丁寧な感謝+資料添付+次のステップを明確化
- 「I look forward to hearing your feedback.」は定番の締め文句
4-3. 見積もり・提案書送付時メール
Dear [Last Name],
Please find attached the quotation/proposal for [Product/Service] as discussed.
If you have any questions or need further clarification, please do not hesitate to contact me.
We look forward to your decision and hope to work with you soon.
Best regards,
[Your Name]
4-4. 受注・契約後の連絡メール
Dear [Last Name],
We are pleased to confirm your order for [Product/Service]. Thank you for your trust in us.
Our team will ensure the delivery and implementation as scheduled. Please feel free to contact me for any questions.
Looking forward to a successful collaboration.
Best regards,
[Your Name]
- 感謝+今後の流れを明確に
- 信頼構築と次のアクションを同時に示す
英語営業でつまずきやすいポイントと解決策
日本人が英語営業でよく戸惑う点をまとめ、具体的な対策を示します。完璧な英語を目指すよりも、「誤解を招かないコミュニケーション」を意識しましょう。
5-1. 文化の違いを理解する:「イエス」の意味合い
日本語では「はい=理解」を示すことがありますが、英語圏では「Yes=同意/賛成」と受け取られることが多いため、曖昧な返事が大きな誤解につながることがあります。
同意できない場合や、まだ検討が必要な場合は、丁寧に「No」や検討の余地があることを伝えるクッション言葉を使いましょう。
Yes, I see. (理解した上で、同意していると受け取られるリスク)
I understand, but we may need to adjust the schedule.
(理解しましたが、スケジュールの調整が必要かもしれません)5-2. 「沈黙」を恐れず、自分のペースで話す
日本の商習慣では沈黙を避ける傾向がありますが、英語商談では沈黙は「考える時間」と捉えられます。焦って不正確な発言をすると、かえって信頼を損ねます。
焦って言葉を埋めようとせず、質問を理解する時間や、次の説明を準備する時間に使いましょう。聞き取れなかった場合は、丁寧に聞き返すことが重要です。
- Could you please repeat that?(もう一度お聞かせいただけますか?)
- Let me take a moment to explain.(少しお時間をいただきご説明します)
5-3. 難しい表現よりも「伝わる英語」を重視
正しい文法かどうか気になって、発言がスムーズに出ない、または複雑になりすぎる。
営業の目的は「伝わること」です。単語やフレーズはシンプルに、論理的に伝えることを優先しましょう。結論(Conclusion)→理由(Reason)→ 提案(Proposal)の順で話すことを徹底します。
5-4. オンライン商談(Zoom/Teams)での注意点
オンラインでのコミュニケーションは非言語情報が伝わりにくいため、特に明確な確認が大切です。
- 映像・音声チェック: Can you hear me clearly? / Can you see the screen? で、商談開始前に必ず確認する。
- 発言のタイミング: 相手の発言を遮らないよう、May I jump in here? や I have a quick question. で割り込みの許可を得る。
- 画面共有: 資料のページやスライドを明確に指示する。We move on to page three(次、3ページにいきます)
営業英語でよく使う単語・フレーズ一覧
商談、メール、交渉のすべてで繰り返し使う、基本かつ効果的な単語・フレーズを厳選しました。これらを自分のものにすることで、一気にプロフェッショナルな印象を与えられます。
| 単語・フレーズ | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| proposal | 提案書 | We will send the proposal by the end of today. |
| client / customer | 顧客 | We are meeting with a key client tomorrow. |
| deal | 取引、契約 | We are close to closing the deal. |
| Quotation / Estimate | 見積 | The price in this quotation is valid for 30 days. |
| Invoice | 請求書 | Please find the attached invoice for this month. |
| follow-up | フォローアップ | I’ll follow-up with an email next week. |
| contemplate / consider | 検討する | We need time to contemplate your offer. |
| Thank you for your suggestion / input | ご提案ありがとうございます | This is a great idea. Thank you for your suggestion. |
| I’ll keep you posted | 随時状況を報告します | I’ll check with the team and keep you posted. |
| cost-effective | 費用対効果の高い | Our solution is the most cost-effective option. |
| I apologize for the delay | 遅れて申し訳ありません | I apologize for the delay in sending the document. |
| We are confident that… | ~だと確信しています | We are confident that this product will meet your needs. |
「検討する」は “think” ではなく “contemplate” や “consider” を使うと、よりビジネスライクで真剣さが伝わります。
英語営業力を高めるおすすめ学習法
すぐに成果を出すためには、一般的な英会話練習ではなく、「ビジネス特化型」の実践練習が不可欠です。
7-1. オンライン英会話で実践練習
- レッスン内容を特化: 「ビジネス英会話」「ロールプレイ」中心のレッスンを選ぶ。
- 商談のシミュレーション: 講師をクライアント役にして、「自社製品紹介」「価格交渉」「クロージング」など、実際の商談を想定したロールプレイを依頼する。
- フィードバック重視: 伝わり方、丁寧さ、論理構成について具体的にフィードバックを受け、改善点を明確化する。
7-2. ロールプレイで営業トークを磨く
- 場面別シナリオ作成: 製品紹介、価格交渉、クレーム対応など、想定される営業シーンのシナリオを日本語で作成し、それを英語に落とし込む。
- 「切り返し」を練習: 特に、「No」の切り返しや、相手からの難しい質問に対する「沈黙への対応」を何度も練習する。
- AIと会話して自己添削: 自分の話す姿を録音・録画し、「早口になっていないか」「はっきりと発音できているか」を客観的にチェックする。
7-3. 英語メールの添削サービス活用
- ワンポイント目線で修正: 自分で作成したメール(アプローチ、見積もり、フォローアップ)をプロに添削してもらい、不自然な表現やビジネスマナー違反を修正してもらう。
- データベース化: 添削済みのメールをテンプレートとして保存し、正確かつ丁寧なメールスキルを効率的に身につける。
7-4. 日常的にフレーズを復習
- 自分の「武器」リストを作る: 商談で実際に使いたいフレーズや、相手から言われて困ったフレーズを単語帳やスプレッドシートで整理する。
- 「商談前の10分」を活用: 重要な商談の前に、このリストを読み返すだけでも自信がつき、本番での言葉の詰まりを減らすことができます。
まとめ:英語での営業は「自信」と「相手理解」による”信頼構築”がカギ
本記事で解説したように、グローバルな営業の現場で成功を収めるために必要なのは、「完璧な文法」ではありません。
最も重要なのは、自信を持って伝える姿勢と、相手の文化や立場を理解するコミュニケーションへの配慮、その結果としての”信頼構築”です。
今日紹介したフレーズ、表現、メール例を活用し、ぜひ営業の現場で使ってみましょう。
英語での営業に自信が持てることは、あなたのビジネスチャンスを大きく広げる扉になります。


