英語で伝わるプレゼン準備から質疑応答まで徹底解説

英語で伝わるプレゼン準備から質疑応答まで徹底解説

2025年11月18日 2時04分

学会発表で成功する研究者のイメージ

学会発表がキャリアに与える影響

学会発表は、研究者や大学院生にとってキャリアアップの大きなチャンスです。自分の研究成果を発表することで、専門分野における認知度を高め、他の研究者や業界の専門家とのネットワークを広げることができます。

また、学会発表の実績は履歴書や研究業績一覧にも記載できる貴重な成果です。就職活動や大学院進学、研究助成金の申請などで高く評価されるほか、国際学会での英語プレゼンテーションは「グローバルに活躍できる研究者」としての印象を与えます。世界中の研究者と交流できる国際学会は、まさに次のステージへ進むための登竜門と言えるでしょう。

第1章

【発表前】効果的な事前準備と英語学習法

学会発表の準備をする研究者

学会発表を成功させるためには、当日のスライドや英語スピーチの準備だけでなく、発表までの長期的な計画と基礎力の積み上げが欠かせません。特に英語で発表する場合、発音や語彙力、スピーキングの瞬発力を早い段階から鍛えておくことが重要です。

1 専門用語の徹底対策

まず、どの分野の学会発表にも共通して使われる英単語やフレーズを整理し、自分の言葉として使いこなせるように準備しておきましょう。重要なのは、単に意味を理解するだけでなく、「実際の発表で自然に使える状態」にすることです。

📖

意味を理解する

🗣️

発音を練習する

自然に使える

🎯

研究の目的を述べるときに使える表現

  • focus on ~(~に焦点を当てる)
  • aim to ~ / aim at ~(~を目的とする)
  • investigate / examine(~を調べる、検討する)
📊

結果を述べるときに使える表現

  • show / indicate / reveal(~を示す)
  • demonstrate(~を明確に示す)
  • suggest(~を示唆する)

研究の意義を述べるときに使える表現

  • contribute to ~(~に貢献する)
  • provide insight into ~(~に関する洞察を与える)
  • be applicable to ~(~に応用できる)
📈

データや図表を説明するときに使える表現

  • as shown in ~(~に示すように)
  • according to the data / results(データによると)
  • in comparison with ~(~と比較して)

💡 発音のコツ:オンライン辞書(Cambridge Dictionary, YouGlish など)を活用し、ネイティブ発音を聞きながら繰り返し練習しましょう。英語発表では発音が明瞭であるほど説得力が増します。

2 期間別ロードマップ

準備は少なくとも10ヶ月前から始めるのが理想です。段階的にやるべきことを整理しておくと、直前に焦らず落ち着いて臨めます。

📚 10ヶ月前〜

基礎英語力の向上

この段階では、「発音・文法・語彙」を中心に英語の基礎力を固めましょう。おすすめの練習法は「シャドーイング(shadowing)」「多読(extensive reading)」「瞬間英作文(instant composition)」の3つです。

🎧

シャドーイング

📖

多読

✍️

瞬間英作文

【Background(背景)を述べるとき】
Recently, there has been growing interest in this field.
(最近、この分野への関心が高まっています。)

【Method(方法)を説明するとき】
I’d like to explain how this experiment was conducted.
(この実験の実施方法について説明いたします。)

【Result(結果)を紹介するとき】
Let me briefly go over the main results.
(主な結果について簡単にご説明します。)

【Conclusion(結論)をまとめるとき】
In conclusion, our findings contribute to a better understanding of this topic.
(結論として、私たちの研究はこのテーマの理解を深めることに貢献しています。)

✏️ 6ヶ月前〜

原稿・スライド作成とネイティブチェックの依頼

スライドや原稿を作成し始める時期です。英文を自分で書いた後は、可能であればネイティブスピーカーまたは英語コーチに確認を依頼しましょう。英語表現やイントネーションの微妙な違いを早期に修正できます。

スライド構成を作成

英文原稿を執筆

ネイティブチェック

🎤 3ヶ月前〜

発表原稿の暗記と録音・録画練習

発表内容が固まったら、原稿を声に出して暗記し、繰り返し練習しましょう。スマートフォンやPCで録音・録画し、自分の発音・間の取り方・姿勢・視線を客観的に確認するのがおすすめです。

特に重要なのは、「読む英語」ではなく「話す英語」へと切り替える練習です。

🔊

発音

⏸️

間の取り方

🧍

姿勢

👁️

視線

3 質疑応答の想定問答集を作る

多くの発表者が見落としがちなのが、「質疑応答の事前対策」です。どれほど内容の良い発表でも、質問にうまく対応できないと、全体の印象が弱まってしまいます。

質問に落ち着いて答えるときに使えるフレーズ

That’s an interesting question. Let me explain our approach in more detail.

(興味深いご質問ですね。私たちのアプローチをもう少し詳しくご説明します。)

If I understand correctly, you’re asking about the data selection process.

(ご質問の意図は、データの選定プロセスについてという理解でよろしいでしょうか?)

答えに詰まったとき・時間を稼ぎたいときに使えるフレーズ

Let me think for a moment.

(少し考えさせてください。)

I’d like to discuss that further after the session.

(その点については、セッション後にさらに議論できればと思います。)

4 本番を想定したリハーサルの重要性

発表練習は「一人での暗唱」だけでなく、他人の前で発表する形で繰り返すことが重要です。実際の学会環境に近い状態で話すことで、時間配分や緊張のコントロールも身につきます。

第2章

【資料作成】伝わる英語スライドの構成とデザイン

効果的な英語スライドのデザイン例

1 伝わるスライドデザインの基本原則

まず意識すべきは、「1スライド1メッセージ」の原則です。1枚に情報を詰め込みすぎると、聴衆はどこに注目すればよいのか分からなくなります。

❌ 詰め込みすぎのスライド

According to the statistical analysis conducted using SPSS, the data revealed a significant difference between the two groups at the 0.05 level, which suggests that the intervention may have contributed to the improvement of participants’ reaction times.

✅ 見やすいスライド

  • Reaction time decreased by 23% after training
  • Significant difference observed between groups (p < 0.05)
  • Suggests effectiveness of the training program

短い英文と数値を組み合わせ、重要な部分を太字で強調すると、聴衆は一目で要点を理解できます。

2 グラフや図表を効果的に使う

グラフや図表を使う際は、単にデータを見せるだけでなく、どの部分に注目してほしいのかを言葉で導くことが大切です。

“Please focus on the blue line — this represents the participants after treatment.”

(青い線に注目してください。これは処置後の参加者を示しています。)

3 フォントとデザインの統一

スライド全体の印象を大きく左右するのがフォント選びです。英語のスライドでは Arial や Calibri など、シンプルで視認性の高いフォントを選びましょう。

文字サイズの目安:

  • タイトル:24ポイント以上
  • 本文:18ポイント以上

4 タイトルと構成を論理的に設計する

スライドのタイトルは、簡潔で具体的に書くことを意識しましょう。英語では10語以内に収めると、情報が整理されて伝わりやすくなります。

❌ 冗長なタイトル

The Results of the Comparative Study of Reaction Time Improvement After Cognitive Training

✅ 簡潔なタイトル

Reaction Time Improvement After Cognitive Training

また、プレゼン全体の構成も重要です。Opening(導入)→ Body(本題)→ Closing(結論) という基本の流れを守ることで、話の展開がスムーズになります。

🚪

Opening

導入

  • 挨拶
  • 自己紹介
  • 研究背景
📋

Body

本題

  • 研究方法
  • 結果
  • 考察
🎯

Closing

結論

  • まとめ
  • 意義
  • 今後の展望

5 英文作成時のポイント

スライドに使う英文は、短く・明確に構成するのが基本です。語彙の選び方によっても発表全体の印象が大きく変わります。

カジュアルな表現(会話寄り) アカデミックな表現(学会向け)
get results obtain results
find out investigate / examine
a lot of data a large amount of data
good / bad effect positive / negative effect
talk about our method describe / explain our method
use this model apply this model
help improve accuracy contribute to improving accuracy
第3章

【発表本番】英語で伝わるプレゼンテーション技術

国際学会で英語プレゼンテーションをする研究者

学会発表の本番では、「正確に話す」よりも「伝わるように話す」ことが重要です。英語が完璧でなくても、構成と流れが整理されていれば聴衆にしっかりと伝わります。

1 オープニング(挨拶、自己紹介、謝辞)の定型フレーズ

発表の最初の印象はとても大切です。はっきりとした声と笑顔で始めることで、聴衆に安心感を与えられます。

Good morning, everyone. Thank you for joining my presentation today.
My name is ___, and I’m from ___ University.
Today, I’d like to share our recent research on ___.

2 本題への移行とセクション間のつなぎ方

発表の途中で、どの部分に移るのかを明示すると、聴衆は安心して内容を追えます。

Next, I’ll move on to the method section.

Now, let’s take a look at the results.

Finally, I’d like to summarize the main findings.

In addition, Furthermore, Moreover などの転換表現を適切に使って、話に流れと深みを持たせましょう。

3 図表やデータを説明するときの構成と表現

データや図表を示すときは、「結果の要点 → 図の説明」という順序で話すことが効果的です。

STEP 1

結果の要点を伝える

Our results show a clear increase in accuracy by 15% compared to the control group.

(結果として、対照群と比較して精度が15%向上しました。)

STEP 2

その後に図やデータを参照する

As shown in Figure 2, the improvement is especially noticeable after the second session.

(図2に示すように、この改善は2回目以降のセッションで特に顕著です。)

4 結論と今後の展望(まとめ方のポイント)

発表の締めくくりでは、次の3つの観点を順に述べると、わかりやすく説得力のある結論になります。

研究の成果(何を明らかにしたか)

Our findings show that early intervention improves long-term outcomes.

(本研究の結果、早期介入が長期的な成果を高めることが明らかになりました。)

学術的・社会的意義(なぜ重要なのか)

In conclusion, our findings contribute to a better understanding of language acquisition in bilingual children.

(結論として、私たちの研究はバイリンガル児の言語習得理解を深めることに貢献しています。)

今後の展望(次の課題や方向性)

In future work, we plan to expand our study to include different age groups.

(今後の研究では、異なる年齢層も対象に範囲を広げる予定です。)

5 聴衆に届く話し方(伝わるプレゼンのために)

どれだけ内容が充実していても、話し方が単調だと聴衆の印象には残りません。次の3つを意識しましょう。

① 声とテンポを意識する

声のトーンとスピードを一定に保ち、文の切れ目で一拍おくことで、聴衆に理解の余裕を与えます。特に重要な箇所では、少しゆっくり話すことで自然な強調効果が生まれます。

② 視線とジェスチャーで伝える

視線をスライドではなく聴衆に向けることで、会場全体に「一体感」が生まれます。アイコンタクトを取りながら話すことで、自信と誠実さを伝えることができます。

③ 自信を持って語る姿勢を大切にする

スクリプトをそのまま読み上げるのではなく、キーワードをもとに自分の言葉で話す練習を重ねましょう。大切なのは、「正確さ」よりも「伝える姿勢」です。

英語プレゼンでは、“Perfect English” ではなく、“Confident Delivery” が最も重要です。

第4章

【質疑応答】質問対応で印象を決める英語コミュニケーション術

学会での質疑応答シーン

学会発表の最後に行われる質疑応答(Q&A)は、多くの発表者が最も緊張する場面です。しかし、質問への対応は「英語力」よりも「対応力」で乗り越えられます。

質疑応答の基本姿勢

Q&Aは、自分の研究をより深く知ってもらう絶好の機会です。そのため、回答は 「結論 → 理由 → 補足」 の順で構成すると、英語でも論理的でわかりやすく伝わります。

Our main finding supports that trend because participants showed consistent improvement — for example, accuracy increased by 15% after the second session.

(私たちの主な発見はその傾向を支持しています。なぜなら、参加者が時間とともに一貫して改善を示し、例えば2回目以降のセッションでは精度が15%向上したからです。)

質問を聞き取るための英語表現

聞き取れなかった場合

I’m sorry, could you please repeat the question?

(すみません、もう一度ご質問をお願いできますか?)

Could you speak a little more slowly, please?

(もう少しゆっくり話していただけますか?)

質問の意図が分からない場合

If I understand correctly, you’re asking about the data selection process, right?

(ご質問の意図は、データの選定プロセスについてという理解でよろしいでしょうか?)

Just to clarify, do you mean the analysis procedure or the data collection?

(確認させてください。分析手順のことをおっしゃっていますか、それともデータ収集についてですか?)

回答に困ったときの対処法

質疑応答では、とっさに答えが出ないこともあります。ポイントは、「時間を稼ぐ」「限界を伝える」「前向きに締める」 の3つです。

① 考える時間を取りたいとき

Let me think for a moment.

(少し考えさせてください。)

That’s a good point. I haven’t considered that before.

(良いご指摘です。今まで考慮していませんでした。)

② 十分なデータがない/専門外の質問の場合

We don’t have enough data to draw a conclusion at this point.

(現時点では結論を出すための十分なデータがありません。)

That’s outside the scope of our current research, but it’s an important direction for future work.

(本研究の範囲外ですが、今後の研究において重要な方向性だと思います。)

③ 批判的な質問への対応

That’s a valid concern. We plan to address that in our next phase of research.

(もっともなご指摘です。その点は次の研究段階で検討する予定です。)

I appreciate your comment — it helps us see another perspective.

(ご意見ありがとうございます。別の視点から考えるきっかけになります。)

座長(Chairperson)とのやり取り

質疑応答の最後には、座長(Chairperson)から追加の質問を受けることがあります。座長の質問は、研究の意義や今後の方向性に関する内容が多く、発表の理解を深めるためのものです。

Could you elaborate on the main contribution of your study?

(本研究の主な貢献についてもう少し詳しく説明してもらえますか?)

How do you plan to apply these findings in future research?

(今後、この研究成果をどのように発展させる予定ですか?)

What were the main challenges you faced during the experiment?

(実験の過程で直面した主な課題は何でしたか?)

まとめ:英語での学会発表を成長の機会にする

英語での学会発表は、語学力を試す場ではなく、自分の研究を世界に伝える大きなチャンスです。発表を通して得られるのは英語力だけでなく、論理的に考え、相手にわかりやすく伝える力です。

発表後は、質疑応答で受けた質問やコメントを振り返り、研究を深めるきっかけにしましょう。また、他の研究者との交流やフィードバックを活かすことで、次の研究課題や方向性が見えてきます。

発表経験を一度で終わらせず、日常の英語学習に結びつけることで、英語の表現力と伝える力は確実に磨かれていきます。英語での学会発表は、緊張する場であると同時に、自分の成長を実感できる貴重な経験です。

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